ふたつの指輪
この人は、そんなことしないってわかってるもん。


と言いつつ、思わず反射的に肩に力が入る。



あたしの目と、尊さんの黒い目が、ばちっと合った。


「男をなめんなよ」

「……」


「……怯えんなよ、バカ。何もしねぇよ」

「……わかってるよ」



わかってるよ。



……尊さんが、あたしに興味がないことは。



「くそっ」


尊さんはベッドの上にゆっくり上半身を起こした。



「……おまえな、調子乗んなよ」


苦笑しながら、頭をポリポリ掻く。



ベッドを降りると、ゆらゆらとキッチンに向かう。

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