ふたつの指輪
「……そう来るか」


予想の範囲内、とでも言いたげな様子で、ふんっと鼻を鳴らす。



「ウツっぽいから、本当に自殺でもしちゃうかもしんない」


尊さんは、軽くうなずいた。


黒い瞳でまっすぐあたしの目を見る。


「それが親のコントロールなんだ。

そうやって、子どもを支配しようとするワケだ。


自分に縛り付けておきたいんだよ。

親が子ども離れできてねぇんだ。放っとけ」


「……でも」


「それでおまえが罪悪感を感じるのはお門違いだ。

それは、おまえの母さんが自分の内面で解決すべき問題なんだよ。


わかるか?


――おまえには何の罪もない」


「……」
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