ふたつの指輪
「おまえな、なに人のベッドに潜り込んでんだ」


20cmくらいのところに、尊さんの顔があった。



(ち、近い……)


うつ伏せで枕に頬杖ついて、あたしを見下ろしてる尊さんの整った男らしい顔に宿るのは、すっかりあきれた表情。


はぁってため息までついてる。



カーテンの隙間から、うっすらと明けてきた空が見えてた。


(え……?)


――朝?



「言っとくけどな、俺じゃなきゃとっくに襲われてるぞ」


って、なんであたし、尊さんの隣で寝てるの?


もももしかしてあたしたち、昨夜、何かあった?



あたしは必死で記憶をたどった。



「それとも何か、襲われたいのか?」


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