ふたつの指輪
「ちち違いますッ」


あわてて首をぶんぶん横に振る。


「そんなわけ……あっ」



思い出した!


思わずがばっと起きあがる。



「こら、布団をめくるな、寒いだろ」


「……昨夜、寝ようと思ったら毛布だけじゃ寒くて……

ちょっとこっちで暖まってたら――そのまま寝ちゃったんだ」


「……」


首の上だけこちらに向けて。

尊さんは眉をあげた。



「なんで毛布で寝ようとしたんだよ」

「いつもこっちのお布団じゃ悪いかなと思って」

「……なんだ、そういうことか」

「そそ、それだけだからッ」



尊さんもがばっと起きあがると、ベッドに腰掛けた。
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