ふたつの指輪

1. あたしは…?

ここに来てからもう5日目。


あたしもすっかり慣れたけど。

尊さんの方もあたしが部屋にいようがいまいが、あんまり関係がないみたいで。


あたしの存在なんかまるで気付いてないかのように、パジャマのままソファでくつろぐ尊さんを眺める。


ゆったりソファにもたれると、テーブルに置いてあった本を手に取って、どこまで読んだかパラパラめくって探してた。



「尊さんってね、ご両親となんかあったの?」


尊さんは、つと、読んでる本から目を上げた。


「なんかって、何だよ」

「いや、ね、いろいろあって、乗り越えてきたのかなって思って」

「……ああ」


尊さんは、軽くうなずいた。


「うちはごくごく普通の家庭だと思う」

「そうなの?」

「父・母・俺・弟。すんげぇ普通だろ」

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