ふたつの指輪
「弟さんもいるんだ。

弟さんもかっこいいの?」

「弟さん”も”って何だよ」


尊さんは片方の口の端だけ上げてニッと笑った。


「それは、俺”も”ってことか?」

「……」


とりあえずスルーするあたし。


わかってるでしょ、そんなことは、自分でも。



「別に大きな事件もなくて、表面的に一見何もなくても、親と子どもの間っていろいろあるもんなんだよ。程度の差こそあれ」


「……うん、そうだと思う」


「生まれて何も知らない時に最初に出会うのが親なんだ。

子どもの世界のすべてだからな。


――子どもって、自分の親を無条件に愛してるだろ?」


「……うん」
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