ふたつの指輪
(尊さん……?)



半ばぼぉっとしながら、あたしは近づいてくる端正な顔を眺めてた。




――と。



まさにあと2,3センチ、というところで。


尊さんはふっと顔をナナメ下にそらした。





「……拒めよ、バカ」




「……」




その一言で。



微妙な空気はサァァッと一掃されていく。




(尊さん……?)


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