ふたつの指輪

2. 卒業式の日に

卒業式の日の朝。


あたしは久々に制服に袖を通した。



「制服姿、初めて見たな」

「何、制服萌え?」

「萌えとか言うな」


尊さんは、眉間にしわを寄せて苦笑した。



「んでも、似合うな。清楚な女子高生ってとこだ」


精悍な頬を持ち上げて、にこっと笑う。



「清楚かどうかは、知りませんけどねぇ~」


あたしはふざけながら、靴を履いて階段を駆け下りる。





昨夜から、あたしたちの間には微妙な変化が起きてた。



何だろう。


信頼関係?

それとも、「あ・うん」の呼吸?
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