ふたつの指輪
ただ一緒にいるというだけじゃなくて。


何となく相手の考えてることが伝わるような。

心がじんわりと混ざってそっと溶け合ったような。


そんな感じ。


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あたしはあわてて、校舎の陰で尊さんに電話してた。


「何だ」


落ち着いた低い声が携帯から聞こえた。


「尊さん?」

「ああ。どした?」


「お仕事中ごめん……あの、高校にママが来てるの。

まだあたしには気付いてないと思うけど」



卒業式が無事済んで、友達と校庭で最後の記念撮影をわいわいしていて、ふと気付いた。



校門のところで、出ていく生徒たちを首をめぐらして見てる。



ママだ。
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