ふたつの指輪
「大丈夫。できる。

自信を持って。


心が乱れそうになったら、深呼吸するんだ」


電話越しに力強い声で励まされて。


「わかった。やってみる」


あたしはゆっくりと、歩いていった。



ママに向かって。



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「で、どうだった?」


ネクタイを緩めながら、肩越しに尊さんが聞いた。


「うん、そんなのウソだとか、そんなことはなかったとか、いっぱいぎゃあぎゃあ反論されたよ」


あたしは苦笑して首をすくめた。


「まぁそうだろうな。

でも、言いたいこと言えたか?」

「うん、反論は後でまとめてしてよって言って、かなり一方的に話しちゃった」

「そうそう、それでいい」


どかっとソファに腰掛ける。

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