ふたつの指輪
尊さんといろいろ話して、尊さんがヒントをくれるおかげで、あたしはいろいろなことに気付いて。


まるで生まれて初めて目が醒めたみたいな気がしたもの。



どうして今まで自分の気持ちにここまでフタをしてこられたのかわからないくらい。


(出会いって、ほんと不思議だな)


あたしは尊さんの姿が角を曲がって見えなくなるまで、ずっと窓から見てた。


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「うへー、疲れた」

「お帰りなさい」


仕事を終えた尊さんが帰ってくる頃にも、そんなしみじみとした想いはあたしの胸にあって。


ネクタイを外して、ちょっぴりお疲れ気味の尊さんの背中に、あたしは急にぎゅっと抱きつきたいくらいの衝動にかられてた。
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