ふたつの指輪
「誰だろ、ママかな?」


妙な胸騒ぎがして、あたしはカバンから急いで携帯を取り出す。




サブウィンドウには小さな二つの文字が光ってた。



まるで、運命を指し示す占い盤のように。




”魁人”




(あ……)




今の瞬間まで、忘れていた名前。



どうして忘れていられたんだろう。




急激に、あたしの心の奥底から、ぐわっと何か激しい感情が持ち上がってきた。

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