ふたつの指輪
窓の外を見ながら、どこかぼんやりとしてる。

午前中だからかな?朝弱いとか。


……いかにも朝弱そうだし。


(昨日はこんな感じじゃなかったのに、どうしたんだろ)



たわいない世間話をぽつぽつといくつかした後、あたしは勇気を出して、思い切って切り出した。


「あのね……魁人くん」

「なに?」


「あたしね、実は今……家出中なの」


「……え?家出?」


魁人くんは、そんなに驚いたふうでもなく、少し眉をあげて、首を傾げた。



「今まで友達の家に泊まってたんだ」

「……そうなんだ」

「でね……すっごく言いにくいけど、魁人くんの家にしばらく泊めてもらうわけにいかない?」

「……家出って、一体どうして?」


(誰の家にいたのかは、聞かないんだね)


正直、ほっとする。

< 175 / 331 >

この作品をシェア

pagetop