ふたつの指輪
ドアを少し開けて延長料金を払って振り返ると、再度ドサッとベッドに腰掛けるのが見えた。



「座れよ」


言われるがままに隣にちょこんと座る。


「クソッ、余計なこと聞いちまった」


舌打ちする。


「……ごめんなさい」

「……今さら謝んなよ」



じっと考え込むように黙っていたその人は。

しばらくして、静かに切り出した。



「……母親に言われただって?」


低い声。


「……はい」

「どういうことだよ」



しん……


しばらくの沈黙。
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