ふたつの指輪
うそでしょ。


あたし、もしかして……



――押し倒された?




尊さんの表情は、逆光になってよくわからない。



「ちょ……と、た、尊さん……

どどうしたの?いきなり……」

「……」


尊さんの男らしく端正な顔は固く無表情で、返事はなかった。


「ねぇ、どう……したの?

冗談……だよね?

酔ってるの?大丈夫?」


おずおずと聞くあたしに返ってきたのは、低い声だった。



「おまえ、不用意すぎんだよ」


「……え?」


「男の部屋にずっといたらどうなるかくらい、わかんだろ」


固い声。


ちょ……っと、何よ、いきなり……


展開がおかしいよ。


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