ふたつの指輪
「そん……な……わかんないよ!

だって、今までそんなの全然……

一体どうしたの?

らしくないよ?

ねぇ……やっぱり酔って……」


必死で声をあげるあたしの唇を。



突然尊さんの唇がふさいだ。



(ちょ……っと)



ほんの少し伸びた口髭が、ちくちくして痛い。


息が、酒臭かった。



(ちょっと待って、本気なの?)



信じられない。

こんなこと。


尊さんが、こんなことするなんて。


いくらお酒が入ってるからって。



ショックよりも驚きの方が強くて。


唇を奪われながら、あたしはずっと目を大きく見開いたままだった。



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