ふたつの指輪
「やだ、お願い、ちょっと待って!」

「あいつはやめとけ。俺にしろ」

「何、言ってるの……?」


「おまえは何もわかっちゃいないんだよ」


(何を――?)



あたしの胸元に顔をうずめて。


尊さんの手があたしの服をまくり上げようとしてる。



(やだ、こんな、無理矢理みたいなことは……)



「ねぇ、尊さん、やめてったら、お願い」


「あいつのことは忘れろ」



(え?どういうこと?)



ちょ、ちょっと待って……




脇腹を手がすべり上がって――



胸元に尊さんの手が届くのがわかった。
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