ふたつの指輪
「バカ。
おまえ……
泣くなよ……」
それだけぽつりと言って。
突然立ち上がってすばやくカバンをひっつかんだ。
(……?)
さっと身を翻して……あたしの視界から消える。
やがて、ドアがバタンと閉まる音。
階段を駆け下りる靴の音がだんだん小さくなる。
(どこ行くの?)
ソファにぺたりと座り込んだまま。
涙が頬を濡らすままに。
(どうして……?)
あたしは車のエンジン音が遠ざかるのをただ聞いていた。
おまえ……
泣くなよ……」
それだけぽつりと言って。
突然立ち上がってすばやくカバンをひっつかんだ。
(……?)
さっと身を翻して……あたしの視界から消える。
やがて、ドアがバタンと閉まる音。
階段を駆け下りる靴の音がだんだん小さくなる。
(どこ行くの?)
ソファにぺたりと座り込んだまま。
涙が頬を濡らすままに。
(どうして……?)
あたしは車のエンジン音が遠ざかるのをただ聞いていた。