ふたつの指輪
「ああ、なるほどな」


「最初のタイミングを逃しちまって……何だか押しにくくて。

そこから時間かかっちゃって」


「はは、マジか。

天下の魁人サマにもそんなことがあるとはな」




(――魁人?)




魁人くん?




(あ。)



この声、魁人くんの声だ。



「つーかおまえ、こいつに惚れてんじゃねぇだろうな」

「そんなんじゃねーよ、バ~カ」

「……ほんとかよ」


くぐもった笑い声。


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