ふたつの指輪
「ああ、わかった。

だから昨夜は太陽につかせてたのか。

おまえが直接行かずに」


「……まぁな。

あいつなら心配ないだろ。アホだから。

オレは……何だか、押せる自信がなかった」


「マジかよ……おまえが鬼になれねぇなんて、何か笑える」

「るせえな。笑うなよ」


「意外にこういう純なかわいいタイプが好きなんだな、おまえ」


フッと苦笑するような声。


「だからそういうんじゃねぇよ」

「……どうかな」


「リュウ、おまえこそ客に惚れたことあんだろ」

「……言うなよ、それ」


ポン、と肩でも叩くような音。


「まぁでも心配すんな、魁人。

真のおまえの姿見たら、しっぽ巻いて逃げていくだろ。

こんな純粋そうな子なら、なおさらな」


くっくっく、とくぐもった笑い声がした。

< 192 / 331 >

この作品をシェア

pagetop