ふたつの指輪
青ざめた頬がこわばってるように見えた。


(……どうしたの?)


やがて意を決するようにドアを開けると。


同じ黒っぽい服を着た男の人たちが大勢あたしを出迎えた。


(わっ……なんだここ)



「ここに座ってて」


魁人くんは、ボックス席を優雅なしぐさで指し示した。



黒いソファ。

ガラステーブルには、氷と水のグラスが置いてある。




しばらくすると、コーヒーみたいな色の飲み物の入ったグラスをトレイに乗せて戻ってきた。


「ちょっとこれ飲んでてくれる?ごめんね」


テーブルの横ですっとひざまづいて、グラスを丁寧にテーブルに置く。

と、席を立ってゆったりと奥へ歩いていく。



(あれ?行っちゃうの?)


どこ行くんだろ。
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