ふたつの指輪
「スキーじゃなくて、女の人といたんだね」

「……そういうこと。

悪いな。

オレはこういうヤツなんだよ」


目を細めてあたしを見る、小バカにしたような目つき。



「どうして、スキーのバイトなんて言ったの?」

「さぁな。

とっさについたウソだから、特に理由なんてないね。


まぁ、長期間連絡取れない理由にはもってこいだろ。

……オレって、天性の嘘つきだからさ」



そう言って、またニッと笑う。



「……いいの。

あたし、心のどこかで、きっとこういうことだって、わかってたから」


「……あ、そう」


魁人くんは顎を少し上げて、涼しい顔して軽くうなずいた。

手間が省ける、とでも言いたげに。
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