ふたつの指輪
「……でも、あたし、それでもやっぱり魁人くんが好きなの」

「……よせよ、今さらそういうこと言うの」


魁人くんは、鬱陶しそうに金色に輝く首を振る。


「もうわかったろ、オレは単に……」


「好きだから、魁人くんに喜んでほしかったの」


あたしは、魁人くんの言葉を無視してしゃべり続けてた。


「魁人くんの喜ぶ顔が見たかったんだ」


「瞳衣……おまえ、なに寝言言ってんの。

いい加減目醒ませよ」


半ばあきれたような声。



魁人くんの形のいい眉が、ほんの少しひそめられた。

面倒そうに、肩をすくめる。


「オレはホストなんだ。

わかる?ホ・ス・ト。


しかもさ、どっちかっつーとたちの悪いホスト。

あんたから有り金全部巻き上げて、その上フーゾクに送り込んで金巻き上げようっていう男なんだ。


いい加減分かれよ」
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