ふたつの指輪
「……」

切れ長の黒い目が、探るようにあたしをじっと見た。



「……あんた、こんなところでこんなバイトしたくないんだろ」

「……」


あたしは唇を噛んでこくりとうなずいた。



「実はあたし……こういう店が何をするところか、よくわかってなかった」

「……そうか」

「来て初めて知ったの。

もちろん、ぼんやりと、ヤバそうだな……って思ってはいたけど。

お酒を飲んで、お客さんの相手をするところかななんて、思い込もうとしてた。


それなら、あんなに時給がいいわけないのにね。

ほんと、世間知らずもいいとこ。

あたしって、ほんとバカ」


「………」

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