ふたつの指輪
「魁人くんは、きっと、心から人を愛することのできない人なんだね。

孤独な、愛を知らない人なんだ。



だからこそ、こんなに惹かれたのかもしれない……」



「瞳衣……」



「もう、いいの。

フーゾクはあたしのお似合いの場所なのかも。


魁人くんを恨んだりしないよ。

バカなのはあたしだから。


魁人くんを好きになったのは、あたしだから」



場違いな微笑みを浮かべるあたしを、唇を噛んでじっと見ていたかと思うと。



魁人くんは、悲しげに首を振った。


何かをふっきるように。
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