ふたつの指輪
もう、あたしを助けてくれる人はいないから。


今度こそは。


もう、天から蜘蛛の糸は降りてこない。




でも、これが、自分で選んだ道なんだ。



わかってて、飛び込んだ――






ガチャ。


ドアが開いて。




店員に導かれて、とうとうお客さんが入ってきた。



(ああ……イヤだ……)



やっぱりイヤだ。



往生際の悪いあたし。



顔を上げたくない。




客の顔なんて、見たくない――

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