ふたつの指輪
「やっと見つけた」



カチャッとドアの閉まる音にかぶさって。


深い安堵のため息とともにつぶやく低い声がした。




(――え?)



驚いて目をあげる。




その声は――




「うそ――」


あたしは目を丸くして、大きく息を吸い込んでた。



「ったく、探したぞ。

んとに、世話の焼ける」



長身をドアにもたせかけて。


引き締まった精悍な頬に苦笑を浮かべて、腕を組んで立っていたのは。
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