ふたつの指輪
「……でもしょうがないって思った。

即お金を作るには、こういうのが一番早いし。

あたしには何のとりえもないし……」



ちっ。

舌打ちする音が聞こえた。




「普通のバイトって、何やってる?」

「喫茶店のウェイトレス」

「時給いくら?」

「800円」

「……まぁそんなもんだろうな。

ここなら時給8000円くらいか……もっとか?

確かに比較にはならねぇな」


考え深げにうなずく。


「もう高校卒業って言ってたな。

――進学するのか?」


「ううん」


あたしは首を横に振る。



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