ふたつの指輪
紛れもなく、尊さんだった。



(うそ……)



「た、尊さん……」


だめ。

目の前の光景が信じられない。



「うそ。

あたしを――

助けに来てくれたの?」



一度ならず、二度までも。



地獄で仏を見るって、こういうこと?



安心しすぎて、頭がくらくらして。

あたしは思わず尊さんの胸に飛び込んでた。


緊張が解けて、涙があふれた。



力強い腕がぎゅっとあたしを抱きしめる。
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