ふたつの指輪

4. 誓い

「おい、何こんなとこで寝てんだよ。ベッドで寝ろ」


頬を軽く叩く手。



(なに……尊さん?)



「さむ…い……」

「当たり前だろ、あんなところじゃ」


寝ぼけ眼のあたしを、誰かの腕が抱え上げた。


「こら、重いぞ」


笑い混じりの声とともに、どさっとベッドに落とされる。



「もう、何よ……」


重たい瞼を何とか持ち上げると、明るいキラキラした笑顔があった。



(か、魁人くん!)



目を開けたら、この顔。

目覚ましにはピッタリ。



あたしの脳は途端にぴりりと冴えた。
< 236 / 331 >

この作品をシェア

pagetop