ふたつの指輪
(尊さんは必死でパジャマ探してくれたっけ)



ザーザーいうシャワーの音を聞きながら。

尊さんのことを考えてた。



あれから、どうしたんだろう?尊さん。


あたし、尊さんを置いて、そのままここへ来ちゃったから。





大きなタオルで髪を拭きながらベッドルームに戻ってきた魁人くんは。

あたしの表情にすぐ気付いた。


「どうしたの?」


さすがホストだけあって、こういうところは敏感。


「いや、ね、尊さんのことが気になって」

「さっきの男?」


少し眉をひそめて、探るような視線をあたしに投げる。



(魁人くん……嫉妬してくれるの?)


ちょっとうれしかったりして。
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