ふたつの指輪
「うん」

「あいつ、何者?」

「あたしの恩人みたいな人なの。

知り合ってまだ10日ほどだけど……いろいろなことをあたしに教えてくれた」


「……あ、そう」


見事なまでに気のない返事。


あたしはつい吹き出してしまう。


「さっきもあたしを助けてくれて……。

なのに、きちんとお礼も言わないままに、そのままここに来ちゃったから。

あの後どうしたのかとか、気になって。

ちゃんとお礼も言いたいし」


「……やけに瞳衣にご執心だったみたいだけどな」


すねたような口ぶり。


「そんなんじゃないよ、尊さんは」


「いや、オレにはわかる。

何年ホストやってると思ってんだ」
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