ふたつの指輪
「うん。当然!一緒に行こうよ」

「……」


形のよい顎に手をあてて、しばらく考え込んでた魁人くんは、突然言った。


「んじゃさ、結婚しよっか」

「え?」


あたしはびっくりするあまり、思わずケラケラ笑ってた。


だって、こんな軽いプロポーズ、あり?


「あ、瞳衣のそんなに笑う顔、初めて見たな」


なんて、ニヤニヤしてる。


「何?結婚なんて、突然」

「だってさ」


魁人くんは、またしても形の良い唇を小さくとがらせる。


「瞳衣と一緒にいた男……タケルって言ったっけ?

ああいうやつと真っ向から勝負したらまず勝てないからな、オレは」
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