ふたつの指輪
あれ?

やけに謙虚じゃない?


あたしはすごくびっくりして。

目を丸くして魁人くんの完璧に整ったキレイな顔を見つめた。


「ああいうやつ、って?」


「オレみたいに、社会の底辺の暗闇でごそごそ手探りで生きてるようなアウトサイダーじゃなくてだな。

陽のあたる社会で、まっとうな倫理観持って、まっとうに生きてるヤツってこと」


「……魁人くん、自分をそんな風に思ってるの?」


こんなに魅力的で、生きるエネルギーに輝かんばかりに満ちあふれてるのに。



(かわいそうに)



あたしは何だか、この人をひどく哀れに感じた。



魁人くんは、意外そうに眉を上げて、くすっと笑った。
< 243 / 331 >

この作品をシェア

pagetop