ふたつの指輪
「先手って……何よ」

「瞳衣をオレのものにしときたいってこと」


魁人くんはニッと笑うと、ベッドに寝そべるあたしのとなりに飛び込んだ。


「でも、あたしまだ18だよ?

たとえ籍入れるにしても、ママの許可がいるよ」

「あ、オレそういうのチョー得意。

見てろ、簡単に許可取ってやるから」


「……」


そりゃ、得意分野だよね。


天使の微笑みで、みんな魔法にかかっちゃう。


「むしろ、瞳衣の母さんがオレに惚れないようにしないとな」

「……」


リアルなこと言わないでよ……。


「明日の昼にでも、指輪買ってやる」

「ちょっと、話早すぎるよ」


それに、動機おかしいよ。


「とびきり豪華なのがいいな。誰もがうらやむような、さ」


あたしを無視して、魁人くんは歌うように言った。
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