ふたつの指輪
「ずっと身につけるのに、そんな豪華なのだと、かえって邪魔だよ?」

「……ああ」


魁人くんはがっかりしたように、眉を寄せてしばらく考え込んでたけど、やがて明るく言った。


「まぁ、見てから気に入ったの買えばいい」


子どものように無邪気に笑いながら、ちゅっとあたしの頬にくちづけた。




のびのびと楽しげに話す魁人くんは、謎めいた王子様の風情は消え失せて、まるで少年みたいだった。

そんな魁人くんを見て、何だかほほえましくなる。



かわいい人。




今思うと、王子様の微笑の仮面を被ってた魁人くんは、血の通わない人形みたいだった。


ミステリアスで恐ろしく魅力的だったけど、そばにいても一緒にいるような気がしなかったし。
< 246 / 331 >

この作品をシェア

pagetop