ふたつの指輪
その繊細な横顔を見ているとぎゅっと胸が痛くなって。


(――この人には、たぶん確かなものが何もないんだ――)


言葉に詰まるあたしにふと気づいて、天使のように明るく微笑む魁人くん。


「毎日キスしてやる」

「魁人くん……」

「毎日抱いてやる」

「やだもう!」

「どこでも連れてってやる。何でも買ってやる」

「いいよ、そんなの」

「瞳衣を幸せにする……自信はないけど……」

「何それ」

「精一杯、大事にするから」


「魁人……くん……」



「だから、さ……



ずっとオレと一緒にいてくれ。



な、瞳衣」
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