ふたつの指輪
繊細な細い指があたしの頬をはさんで。

ちょっととがらせた唇が、ふとほころんで、そのままあたしの唇に重なった。



「……そんなこと、言ってないってば。

別に髪の色なんて、どうでもいいもん」

「……ならいいけどさ」


魁人は目を細めてニッと笑って、もう一度あたしの唇をふさいだ。

細い腕がぎゅっと、あたしの背中に回る。



「来いよ」


手を背中に回したまま、ベッドへといざなう。

スマートで、洗練された物腰。



(魁人くん――)



ほんのり微笑む、ひどく整った顔を見上げる。



(お仕事のために染めてたんだ)



――いろいろ無理してたのかもしれないな。

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