ふたつの指輪
家を飛び出して、恐らくはずみで入ったであろう夜の世界で――


夜の世界のジョーシキやしきたりに染まりながら、見よう見まねで仕事していくうちに。


“自分はホストなんだ”っていう自覚とともに、少しずつ、ホンモノっぽくなっていったんだと思う。



そうしてそれは、いつしか“本物”になっていく。




誰だってきっとそう。



生まれたときからホストだった人はいないし。


生まれたときから悪者だった人なんて、いないもの。





でもそれって、いい方にも変われるんだよね。


人って案外簡単に変われるものだから。





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