ふたつの指輪
そんな親がいたら家に友達も呼べない。

親父のことが知られるのがいやで、友達作るのすら躊躇してたよ。


……ほんと、サイテーな家だったな」


「……うん」


あたしは控えめにあいづちを打つ。


「んでさ。

家を出た直接のきっかけは……強姦魔にされたことだった」


「……え?」


「振った女に逆恨みされてな。

見事にハメられたんだ。

親にも“恥かかせやがって”って、さんざんぶん殴られてさ。

学校じゅうにも知れ渡って。

あっさり退学になった」


「……」


「しまいには、親父に包丁つきつけられて、“出て行け!”って言われてさ。

マジで殺されるかと思ったよ。

ムカついたから本当に出てやった」

「魁人……くん…」


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