ふたつの指輪
「……」


「その、良い、悪い、すら幻想だと思うよ。

何もかも表裏だもん」


「……」


魁人くんはじっと空を見つめたまま、何も言わない。




「ねぇ、魁人くん。


もしかして――


ご両親に復讐しようとしているの?


とことん悪い人間であることで」




「……」



薄い色の瞳がひるむように空をさまよって――

やがて、そっと伏せられた。

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