ふたつの指輪
1.
「ここが、あたしの……」
後ろ手に玄関を開けた瞳衣の言葉が途切れた。
部屋をじっと見ている横顔は、何かを乗り越えた一種のすがすがしさと、消えようのない深い悲しみが宿っていた。
決して広くはない。
しかし、手入れは行き届いていて、気持ちのいい部屋。
窓からの眺めもすばらしい。
「狭いけど……あたしにはちょうどいいでしょ。
がらんどうな広い部屋はイヤだったの」
俺を振り返って、寂しげな笑みを浮かべる。
後ろ手に玄関を開けた瞳衣の言葉が途切れた。
部屋をじっと見ている横顔は、何かを乗り越えた一種のすがすがしさと、消えようのない深い悲しみが宿っていた。
決して広くはない。
しかし、手入れは行き届いていて、気持ちのいい部屋。
窓からの眺めもすばらしい。
「狭いけど……あたしにはちょうどいいでしょ。
がらんどうな広い部屋はイヤだったの」
俺を振り返って、寂しげな笑みを浮かべる。