ふたつの指輪
「良かったら、上がって」


オレは言葉に甘えて、居心地の良さそうな部屋に足を踏み入れた。



瞳衣とは何かにつけてちょくちょく会ってたけど、ここに来たのは初めてだった。


最近引っ越したと聞いて、遊びに来たところだ。




ふと見ると、部屋の隅っこに、プレゼントらしき箱が積み木みたいに積み上がってる。


「あ、昨日ね、高校の友達が遊びに来てくれてたの。

二十歳の誕生日を祝ってくれた」


にっこりと微笑む表情は、以前と変わってない。



「いい眺めだな。

きっと春になったら桜が見える」
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