ふたつの指輪
ふと見ると、隅っこに貼ったばかりらしい新しい写真があった。

無理にぎこちない笑顔を浮かべてる。


目は黒い線で隠されてたから細かい表情までわからなかったけど。

細い肩に余計な力が入ってるのが写真からわかった。



「あ、その子新入りですよ。

実はさっき入ったばっかりで。

今指名したら、お客さん初物ですよ」


(初物って……)


魚か何かかよ。



「……じゃ、この子」


もともと何もする気はなかった。


金払ってする行為なんて、虚しいだけだから。
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