ふたつの指輪
肉食獣に睨まれたウサギのような怯えた顔をして。


その瞳に宿る悲しみ、寂しさに、俺はある種のショックを受けてた。



……どうも俺は風俗に行くような女が好みらしいな。


思わず自嘲気味に考える。





別に何も話す気もなかったのに。


目の前の子に心が動いてしまった俺は、それに反発するように、この子をくどくど責め立てていた。



――腹が立ったから。



(なんでこんなところにいるんだ、この子は)


何やってんだよ。こんなところで。



ぶり返した梨恵への怒りと悲しみもないまぜになって、気が付いたら、俺はこの子にねちねち絡んでた。
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