ふたつの指輪
「俺だ、バカ。大声出すな」
(あ!)
その声は――
振り返ると、暗闇に浮かび上がるのは、眉を寄せた険しい端正な顔。
「あ――」
(さっきのお客さん……!?)
それは紛れもなく、さっきあたしに何もしなかったお客さんだった。
「ちょっと来い」
有無を言わさず、腕をつかんでぐいぐい歩き出す。
「ちょ、ちょっと、待って……」
よろめきながら何とか歩いて大通りへ出ると。
その人はさっと手を挙げて、通りかかったタクシーを止めた。
(あ!)
その声は――
振り返ると、暗闇に浮かび上がるのは、眉を寄せた険しい端正な顔。
「あ――」
(さっきのお客さん……!?)
それは紛れもなく、さっきあたしに何もしなかったお客さんだった。
「ちょっと来い」
有無を言わさず、腕をつかんでぐいぐい歩き出す。
「ちょ、ちょっと、待って……」
よろめきながら何とか歩いて大通りへ出ると。
その人はさっと手を挙げて、通りかかったタクシーを止めた。