ふたつの指輪

2.

やつから連絡があったのは、、瞳衣が俺の部屋に来てから10日ほど経った頃のことだった。



(予定より早いな)


俺はひそかに腹を立てていた。



男が戻ってきたとソワソワしている瞳衣を、バイト先の喫茶店より少し離れたところで車を駐めて車から降ろす。


ほっとしたような、もやもやしたような、複雑な心境で。

跳ねるように歩いていく瞳衣を見送った。




近所の本屋で本を物色して、車に戻りがけに自動販売機でコーヒーを買った。


ゴロン……

重い音とともに落ちた缶を取り出したとき、ちょうど一人の男が俺の横を通り過ぎた。
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