ふたつの指輪
缶コーヒーを飲みながら、何の気なしにそいつの細い後ろ姿を眺めていたら。

そいつは、瞳衣のバイト先の喫茶店にぶらりと入っていった。



(――?)



いやな予感がした。


(少女漫画からそのまま抜け出したみたいな人)


瞳衣の言葉が脳裏に浮かんだ。



まさかな。


偶然だろ。




車で喫茶店の前を通り過ぎるとき、ちらりと目をやった店の中で。

窓際の席で、さっきのホスト男の正面に、嬉しそうな顔して座ってる瞳衣が見えた。



(マジかよ……)
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