ふたつの指輪
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「エスパーかと思っちゃった」

「何が」


「今日言われたから」


目を輝かせて、あいつに”店に来い”と言われたと語る瞳衣を見て、俺は内心あせってた。


予想はしてたけど、実際こうなったとき俺はどうすべきなのか、まだ考えてなかったから。



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「あたしは、梨恵さんじゃない」



目に涙をためて、あのとき瞳衣はそう言った。



(え?梨恵?)



俺は虚をつかれて、なぜ梨恵のことが出てくるのか一瞬わからず、思わず黙り込んでいた。


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