ふたつの指輪
朝になっても、案の定瞳衣は部屋に戻ってこなかった。


(大丈夫か?――あいつ)


待ってろよ。




俺は会社を休んで、祈るような気持ちで探偵をやっている知人の知人を頼った。


ヤツの店を洗ってもらうと、やはりプロは違う。

あっという間に浮かび上がった複数の関連する店の中に、一つ風俗店があった。



(怪しいな)



俺は、開業時間とともに、ためらいなくその店に飛び込んでいた。






ドアを開けたときの瞳衣の驚いた表情。


俺を魔法使いでも見るような目つきで見てたっけ。
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